234.巻三・300、301:長屋王、馬を奈良山に駐(と)めて作る歌二首
300番歌
訳文
「佐保すぎて奈良山の手向の神に奉る幣は妻に絶えず逢わせたまえと願ってのことだ」
書き出し文
「佐保過ぎて 奈良の手向に 置く幣は 妹を目離(か)れず 相見しめとそ」
高市皇子の子である長屋王が馬を奈良山に駐めて作った歌で、長屋王の佐保邸の営まれる以前の歌であるという。
また、長屋王は75番歌も詠んでいます。
奈良山は大和国と山城国の境をなす山であり、峠の神に旅の安全を祈願する風習があった。
手向:行路の安全を祈り道の神に幣帛(へいはく)を奉ることであるが、ここは手向を捧げる峠の神を言う。
いま、添御縣座(そうのみあがたにいます)神社に長屋王の歌碑があるとのことです。
引用した本には、古代の奈良山越えについて、現代と比較して記載してあります。
長屋王について書かれた本は多いですが、最近読んだ下の本も詳しいです。
301番歌
訳文
「岩の根のごつごつした山を越えるつらさに、つい声を出して泣くことはあっても、妻を思っていることは、人前でおもてに出したりするものか」
書き出し文
「岩が根の こごしき山を 越えかねて 音(ね)には泣くとも 色に出でめやも」公用の旅の途中で女々しい態度は見せたくないとの気持を歌ったもの。
こごしき:「こごし」は、凝り固まってごつごつしたさま
引用した本です。
なお、奈良山は下の本も参考にしました。
今朝の室温5℃で、やっと8℃になりました。
今日から明後日にかけて雪の予報です。
では、この辺で。