228.巻三・289・290:間人宿禰大浦(はしひとのすくねおほうら)が初月(みかづき)の歌二首
間人宿禰大浦:伝不詳
289番歌
訳文
「大空を振り仰いで見ると、三日月が、白木の真弓を張ったように空にかかっている。この分だと夜道はよいだろう」
書き出し文
「天の原 振り放(さ)け見れば 白真弓(しらまゆみ) 張りて懸けたり 夜道はよけむ」
夕方から夜にかけて道を急ぐ人の心を歌ったもの
白真弓:白木の弓、三日月を、弦を張った弓に譬えた。
真弓:檀(まゆみ)の枝で作った弓。ここでは弓の誉め言葉として用いた。
290番歌
訳文
「倉橋の山が高いからであろうか、夜遅くなって出て来る月の光の心細いことよ」
書き出し文
「倉橋の 山を高みか 夜隠りに 出で来る月の 光乏しき」
題詞に初月(みかづき)の歌二首とあるが、この歌は夜更けに出る下弦の月を詠んだものと解される。
引用した本です。
参考にした本で、倉橋山の記載が詳しいです。
巻七・1282と巻三・290を紹介しています。
290番歌に関して、「藤原京方面から見ると、音羽山は、多武峯の上に稜線を見せていて、月の出のおそいのを、「倉橋の山を高みか」と、うったえる気持ちもわかるような気がする。」と犬養氏は記載しています。
今朝は風が強く、室温11℃とやや暖かいです。
では、この辺で。