万葉集の日記

楽しく学んだことの忘備録

206.巻三・239、240、241:長皇子、猟路の池に遊(いで)す時に、柿本朝臣人麻呂が作る歌一首あわせて短歌

239番歌

訳文

「あまねく天下を支配せられるわが主君、高く天上を照らし給う日の神の御子、長皇子が、馬を連ねて狩をしておられる猟路野の御猟場では、鹿は膝を折って匐うようにしてお辞儀し、鶉(うずら)はうろうろとおそばを匐いまわっているが、われわれも、鹿ではないが手をついて匐うようにして皇子をうやまい、鶉のように身を屈めて匐うようにしておそばを離れず、恐れ多いことだと思いながら、お仕え申し上げて空を仰ぐように皇子を仰ぎ見るけれども、春草のようにいよいよお慕わしく心ひかれるわが君でいらっしゃいます」

書き出し文

「やすみしし わが大君 高照らす 我が日の御子の 馬並めて 御狩立たせる 若鹿(わかこも)を 猟路の小野に 鹿(しし)こそば い匐ひ拝(をろが)め 鶉こそ い匐ひ廻れ 鹿じもの い匐ひ拝み 鶉なす い匐ひ廻(もとほ)り 畏みと 仕へまつりて ひさかたの 天見るごとく まそ鏡 仰ぎて見れど 春草の いや愛づらしき 我が大君かも」

反歌一首

240番歌

訳文

「空に出た月を網を張って捕えて、わが君は蓋(きぬがさ)にしていらっしゃる」

書き出し文

「ひさかたの 天行く月を 網に刺し 我が大君は 蓋にせり」

空に出た月を背景にして立たれた皇子の姿をこのように見立てて、皇子の威勢を讃えた。「つきに網を刺し」と言ったのは猟場での歌だからである。

蓋:貴人の後ろからさしかける大型の傘。いかめしく飾りたてるてだての一つ。

或本の反歌一首

241番歌

訳文

「わが皇子は神であらせられるので、杉や檜の茂る人気のない山中に海をお作りになっている」

書き出し文

「大君は 神にしませば 真木の立つ 荒山中に 海を成すかも」

御猟場の山中の池、または谷川をせきとめて作った人工池を、皇子の絶大な力によってできた海と見立て、皇子を讃えた。

引用した本です。

f:id:sikihuukei:20171004051300j:plain

今朝は小雨で肌寒いのですが、この時期冷え込むと雪ですね。

小雨の分だけ温かいかな。

今時期の裏山の風景です。

f:id:sikihuukei:20171016044035j:plain

f:id:sikihuukei:20171016044115j:plain

f:id:sikihuukei:20171016043953j:plain

f:id:sikihuukei:20171016044202j:plain

f:id:sikihuukei:20171016044637j:plain

福寿草

f:id:sikihuukei:20171016044525j:plain

上溝桜

f:id:sikihuukei:20171016044426j:plain

f:id:sikihuukei:20171016044328j:plain

では、この辺で。