万葉集の日記

楽しく学んだことの忘備録

192.巻二・202:或書の反歌一首

202番歌

訳文

「哭沢の神社に神酒の瓶(かめ)を据えて無事をお祈りしたが、そのかいもなく、わが君は、空高く昇って天井を治められる方となってしまわれた」

書き出し文

「哭沢の 神社(もり)に御瓶据ゑ 祈れども わが大君は 高日知らしぬ」

死をとどめようとする祈りは女性が行う習いであった。

わが大君:高市皇子、その娘という檜隈女王の作の歌らしい。皇子の挽歌の反歌であったという。

哭沢の神社:香具山西麓の神社、伊邪那美神の死を悲しんだ伊邪那岐神の涙から生まれた哭沢女神を祀るという。

「もり」:樹木に神が来臨するという思想による語

高日知らす:天知らすと同じく貴人の死をいう表現

左注は省略しました。

下の本を引用しました。

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では、この辺で。