187.巻二・170:或本の歌一首
この歌は、次に続く舎人らの二十三首を導く歌として殯宮早々に詠まれるとともに、殯宮最終段階での歌である。
170番歌
訳文
「島の宮のまがりの池の放ち鳥も、人目を恋い慕って池にもぐろうともしないでいる」
書き出し文
「島の宮 まがりの池の 放ち鳥 人目に恋ひて 池に潜(かづ)かず」
島の宮:草壁皇子生前の宮殿。もと蘇我氏の邸宅。後に舒明皇統の離宮となる。島乃庄石舞台古墳あたりか。橘寺の東、飛鳥川西岸の傾斜地ともいう。
まがりの池:島の宮の池の名。まがっていたのであろう。池は傾斜地にいくつもあったらしい。
放ち鳥:風切羽を切って放ち飼いにした鳥。鴨であろう。遺愛の鳥を皇子の霊魂とも見ている。
引用の本です。
では、この辺で。