万葉集の日記

楽しく学んだことの忘備録

183.巻二・162:天皇の崩りましし後の八年九月九日の奉為の御斎会の夜に、夢の裏に習ひたまふ御歌一首

天武崩御八年後、持統七(693)年

奉為の御斎会:おほためのごさいえ、天皇のご冥福のために僧尼を集めて読経し供養する法会。

夢の裏に習ひたまふ:持統天皇が夢の中で詠み覚えた歌。夢は魂鎮めのための夢占いであろう。

162番歌

訳文

「明日香」の清御原の宮にあまねく天下を支配せられたわが大君、高く天上を照らし給うわが天皇よ、大君はどのように思し召されて、神風の吹く伊勢の国は、沖の藻も靡いている波の上に潮の香ばかりがけぶっている国、そんな国においであそばすのか・・・。ただただお慕わしいわが大君よ」

書き出し文

「明日香の 清御原の宮に 天の下 知らしめしし やすみしし 我が大君 高照らす 日の御子 いかさまに 思ほしめせか 神風(かむかぜ)の 伊勢の国は 沖つ藻の 靡(な)みたる波に 潮気のみ 香(かを)れる国に 味凝(うまこ)り あやにともしき 高照らす 日の御子」

高照らす:「日の御子」の枕詞。

いかさまに思ほしめせか:挽歌特有のくどき文句。

神風:「伊勢」の枕詞。天武天皇伊勢神宮の加護によって壬申の乱を有利に導いたという。

味凝り:「あやにともしき」の枕詞。語義未詳。

下の本を引用しました。

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今朝は少し肌寒く感じ、虫の声も聞こえません。

では、この辺で。