176.巻二・151、152:天皇の大殯(おほあらき)の時の歌二首
151番歌
訳文
「こうなるであろうとあらかじめ知っていたなら、大君の御船が泊(は)てた港に標縄(しめなわ)を張りめぐらして、悪霊が入らないようにするのだったのに」
書き出し文
「かからむと かねて知りせば 大御船(おほみふね) 泊(は)てし泊(とも)りに 標(しめ)結(ゆ)はましを」 額田王
志賀の都は琵琶湖畔にあったので、崩御が港から侵入した悪霊によるものと見て嘆いた歌。
標:ここは領有するための標識。この種の標は外部から悪霊が入ることを拒否するためにつけられた。
152番歌
訳文
「わが大君の御船が着くのを今も待ち焦がれていることであろうか。志賀の唐崎は」
書き出し文
「やすみしし 我ご大君の 大御船 待ちか恋ふらむ 志賀の唐崎」 舎人吉年(とねりのえとし)
額田王の歌を承(う)けて、港は天皇の愛された唐崎であると見、唐崎はそれとも知らずにいることを嘆いた歌。
引用した本です。
では、今日はこの辺で。