175.巻二・150:天皇の崩りましし時に、婦人(をみなめ)が作る歌一首
姓氏いまだ詳(つばひ)らかにあらず
150番歌
訳文
「生きている身体は神の力にさからえないので、遠く去ってしまって、朝も私の嘆くあなた、遠く思慕するあなた。もし玉ででもあったら手に纏(ま)いてもち、衣だとしたら脱ぐ時もないように私の恋うるあなたは、昨夜の夢現れて来ました」
書き出し文
「うつせみし 神に堪(あ)へねば 離れ居て 朝嘆く君 放(さか)り居て 我が恋ふる君 玉ならば 手に巻き持ちて 衣(きぬ)ならば 脱く時もなく 我が恋ふる 君そ昨(きそ)の夜 夢(いめ)に見えつる」
婦人:一般的名称、ここでは宮女の類。
堪へ:かなう。
脱く:貫くと同義
昨の夜:キソが昨夜、昨夜デアル夜の意。
夢(いめ):ユメの古語。イは寝、メは目。夢現することは魂の活動によった。
下の本を引用しました。
今朝は少し風が強く、小雨です。
虫の声も聞こえる。
では、この辺で。