172.巻二・147:天皇聖躬不予の時に、大后の奉る御歌一首
題詞の前に「近江の大津の宮に天の知らしめす天皇の代・・・天智天皇といふ」の記載があり、たぶん155番歌までが一つの歌群かな。
天智天皇の死をめぐる歌は萬葉初出の純粋な挽歌であるが、作者のすべてが後宮の女性であるとのこと。
147番歌
訳文
「天の原を振り仰いではるかに見やりますと、大君の御命はとこしえに長く天空いっぱいに充ち足りていらせられます」
書き出し文
「天の原 振り放(さ)け見れば 大君の 御寿(みいのち)は長く 天足(あまた)らしたり」
聖躬不予:天皇のご病気
大后:倭姫王
歌は無窮の天空を仰ぎ見て聖寿(せいじゅ)の長久を予祝した呪歌(じゅか)。
天の原:空を広大で神聖な領域としてとらえた語。
次の148番歌と一緒に記載した方がいいかもしれませんが、148番歌は次回の記載とします。
引用の本した本です。
では、今日はこの辺で。
夜半からの雨が止みそうです。