141.巻一・78:和同三年庚戌の春の二月に、藤原の宮より寧楽(なら)の宮に遷る時に、
御輿を長屋の原に停(とど)め、古郷(ふるさと)を廻望(かへりみ)て作る歌
(天理市南部。藤原・平城両京の東京極結ぶ道:中つ道の中間点付近。ここで旧都への手向儀礼が行われた)
一書には「太上天皇(おほすめらみこと)の御製」といふ
78番歌
訳文
「明日香の里をあとにして行ったならば、君のいらっしゃるあたりはもう見られなくなることであろうか。<君のいらっしゃるあたりを見ないで過ごすことになるのであろうか>」
書き出し文
「飛ぶ鳥 明日香の里を 置きて去(い)なば 君があたりは 見えずかもあらむ」
明日香・藤原宮時代を偲ぶ歌の一つとして、奈良遷都途上の儀礼の場で歌われたもの。
飛ぶ鳥:枕詞、鳥が朝明(あさけ)に飛ぶので類音の「明日香」にかけたもの。土地誉めの意もある。
君が当たり:本文では文武天皇にいたる天武皇統に連なる人々が住んだ土地、異文では天武天皇の大内陵をさす。
今日も一首読みました。下の本を参考にして。
では、この辺で終わります。
昨日撮った桔梗の花です。