万葉集の日記

楽しく学んだことの忘備録

104.巻第一・2:天皇の御製歌・舒明天皇

<雑歌>

高市の岡本の宮に天の下知らしめす天皇の代

「大和には 群山(むらやま)あれど とりよろふ 天の香具山 登り立ち 国見をすれば 国原は 煙(けぶり)立つ 海原(うなはら)は 鷗(かもめ)立ち立つ うまし国ぞ 蜻蛉島(あきづしま) 大和の国は」

<歌意>

(大和にはたくさん山があるけれど、なかでもとりわけ立派な天の香具山よ。この山の上に立って国見すると、国原には煙が盛んに立ちのぼっている。海原には鷗が盛んに飛び立っている。ほんとうに立派な国だ。この蜻蛉島大和の国は。)

国土の繁栄を願った歌。国原:広々とした平地。煙:水蒸気や炊煙など。海原:香具山の周辺にあった埴安、磐余などの池を海としてとらえたもの。鷗:池のあたりを飛ぶ水鳥を鷗としてとらえたもの。蜻蛉島:大和の枕詞。蜻蛉はとんぼで、穀霊の象徴。

下の本も参考にしました。

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この歌の主題は、「大和」であり、「蜻蛉島大和の国」を、歌において成り立たせているのが鑑賞点。明日が三日目、冬季を考えると一日一首では読破できないな。「あきづ島」の名の起こりが、神武天皇にかけて説かれることがあるようです。上の本に説明有。中略:歌いだしの「大和」と、結句の「大和の国」とは、異なる意味を持つといってもよいと本で述べている。歌の表現のなかで、王権の地「大和」の、その称をもって国土全体をおおうことの確認をはたすのであるという。