96.万葉集に詠まれている花(28)たで:蓼
万葉集にはタデを詠んだ歌が三首あります。
巻11・2759、巻13・3230、巻16・3842の三首です。
タデはタデ科イヌタデ属の一部の総称として現在使われています。
蓼の仲間は非常に多く、オオイヌタデ、イヌタデ、ヤナギタデ、ボントクタデ、サクラタデなど、全国に自生するタデは20種を楽に超えるのだそうです。
三首しか詠まれていないのに、詠まれているのはどの種かな。
詠まれているタデを特定することは難しいのでしょう。
さらに、狭義にはサネエタデ節のヤナギタデを意味するのだそうです。
(難しくなってきましたので、分類的記載はここまでとします)
タデ属は種類が多く、食用になるものは食用タデ、一名ホンタデと呼ばれ、路傍などに生えているものはイヌタデ、川辺や水源地にはヤナギタデの類が多いといいます。
北海道の花の図鑑にも多くの種が記載されています。
日本にはサナエタデ節に属すのは、約20種が分布するといいます。
1)巻11・2759
「わが屋戸の 穂蓼古幹(ほたでふるから) 採(つ)み生(おほ)し 実になるまでに 君をし待たむ」
(誰が詠んだんだろうか、詠み人知らずかな)
(わが屋戸の穂蓼の古い幹を採って新しいのを生えさせ、それが実になるまで、あなたをお待ちしています)
オオケタデであるとする方は、「屋戸」で庭に植えられていること、「穂蓼古幹」という表現から、相当に太い幹のタデであること、次に「採(つ)み生(おほ)し」の部分は、採んで新しいのを生やす意味であること、さらに「実になるまでに」と実を採ることを詠み、貴重な種子であること(イヌタデ、オオイヌタデ、ボントタデなどは決して種子を採って蒔くようなことはしない)であるようです。
(そうかなと思う反面、反論する根拠も蓼についての知識もありません)
2)巻13・3230(長歌)
「幣帛(みてぐら)を 奈良より出でて 水蓼穂積にいたり 鳥網(となみ)張る・・・・・・・略・・・・・・・・・・・・・・・・」
(誰が詠んだんだろうか、詠み人知らずかな)
(神への捧げる物を並べる奈良を出て、水蓼の穂に出る穂積に到り、鳥をとれる網を坂に張る・・・・・・・・・・・・・・)
この歌に詠まれているタデは、ヤナギタデの可能性が高いのだそうです。
牧野富太郎博士はこの歌が出てくるタデを、「水蓼」と表現していることを根拠に、奈良地方に多く自生し、水辺に生えるヤナギタデであるとしているのだそうです。
(説得力ありますね)
3)巻16・3842
「小児ども草はな刈りそ八穂蓼を穂積の朝臣が腋草を刈れ」
(子供たちよ草は刈るな。穂の多い蓼の、穂積の朝臣の腋の草を刈れ)
「八穂蓼」は、穂の多いタデの意味で、水蓼や八穂蓼は、いずれも「穂」に続く枕詞になっているものであるとか。
(難しいな)
蓼 (たで) - 生半可のつれづれ絵草子 を参考にしてください。
2014年9月15日、22日に小樽の裏山や道端で撮ったタデ科のイヌタデとミソハギです。
ヤナギタデとオオケタデは道内に分布しているのです。
北海道に咲く万葉集の花に、まためぐり会えたなと思ったのですが、両種には今のところ縁がないですね。
北大の植物園に咲いているだろうか。
今年(2014年)めぐり会ったのは、ミゾソバとイヌタデなのです。
)ミゾソバかな、自信ないのです。
2)イヌタデと思うのです。