85.万葉集に詠まれている花(20)竹・たけ(多気・太気・竹)
集中竹の歌は25首。「本草図譜」には「淡竹、はちく、苦竹、まだけ、くれたけ、からたけ、孟宗竹」、節間の異なる「ほていちく、方竹」、色の異なる「實中竹、ごまだけ、金明竹」それに葉が白斑の「おきなだけ」など、20種を超える竹が描かれている(庄司信洲編著(2003)江戸時代の植物と現代生け花による万葉の花 学習研究社)。多くの竹が自生しているのですね。イネ科に属し、花はめったに開花せず、花をつけると枯れてしまうこともあるようです(吉野江美子文・中村明巳写真(2006)万葉花のしおり 柳原出版)。
詠まれている歌は、歌番45、217、379、420、824、955、1047、1050、1121、1276、1349、1350、1412、1677、1790、1830、2478、2754、2773、3093、3474、3758、3791、4286、4291です。この中の巻5・824、巻6・955、巻19・4291の3首を記載します。
なお、歌では単に竹と詠まれているほかに、なよ竹・さき竹・さす竹・竹葉・竹垣・竹玉(歌番379・420)・竹珠(歌番1790)などで詠まれています。
それでは、巻5・824の歌から。
阿氏奥島(巻5・824)
「梅の花 散らまく惜しみ わが園の 竹の林に 鶯鳴くも」
(梅の花の散ることを惜しんで、わが庭の竹林で鶯がしきりに鳴いている:大貫茂(2001)万葉の花100選古歌でたどる花の履歴書 淡交社)
石川足人(巻6・955)
「さす竹の大宮人の家と住む 佐保の山をば思ふやも君」
(大宮人が家として住んでいる、佐保の山辺を心にかけておられますか、あなた。(吉野江美子文・中村明巳写真(2006)万葉花のしおり 柳原出版))
「さす竹」は、大宮人の枕詞として詠まれているようです。
大伴家持(巻19・4291)
「我がやどのいささ群竹吹く風の 音のかそけきこの夕かも」
(わが家のわずかな群竹に、吹く風の音がきこえてくる夕暮れであることよ。(庄司信洲編著(2003)江戸時代の植物と現代生け花による万葉の花 学習研究社))
家持の叙情歌のもっとも優れた作品として知られているようです。
なお、3791の歌に、「竹取の翁」の話がでてきます。この歌と日本最古の物語として平安時代に書かれた「竹取物語」との関係については、いまだ解決を見ていないようです(吉野江美子文・中村明巳写真(2006)万葉花のしおり 柳原出版)。
下記の画像は昨年の京都旅行で撮ったものです。
竹っていいなと思い撮ったのを思い出し、とりまとめてみました。もっとすばらしい竹の場所があるのでしょう。
(旅行の折には、万葉集の歌など思いもよらなかったのですが)
1)京都龍安寺で(2013年4月15日撮影)
2)京都嵯峨野(2013年4月15日撮影)
3)京都龍安寺で(2013年4月15日撮影)
4)京都宝厳院で(2013年4月15日撮影)
5)京都宝厳院で(2013年4月15日撮影)
6)京都嵯峨野で(2013年4月15日撮影)
7)京都銀閣寺で(2013年4月16日撮影)
8)京都法然院への道で(2013年4月16日撮影)
9)京都南禅寺垣(2013年4月16日撮影)
10)京都高台寺で(2013年4月16日撮影)
11)京都高台寺で(2013年4月16日撮影)
12)京都高台寺で(2013年4月16日撮影)
13)京都高台寺で(2013年4月16日撮影)
14)京都土産
15)京都二条城で(2013年4月17日撮影)
16)京都観智院で(2013年4月17日撮影)