72.自然を詠んだ歌(6)暁
今年は朝日や日の出を撮ることが多いです。
自然を詠んだ歌(3)朝日で歌番1844を紹介しました。
その際朝日として八首詠まれていると記載したのですが、九首の誤りで、歌番189の歌を追加します。
画像は2013年10月5日に撮影したものです。
日の出を撮る予定でしたが、生憎雲に恵まれすぎて、きれいな日の出ではなかったのです。
でも、朝焼けがきれいでした。
で、短絡的に万葉集に朝焼け・暁が何首詠まれているかなと思ったのです。
早速、山口大学教養学部吉村誠先生の「万葉集検索Ver.2.2.0」にて検索しました。
朝日九首、朝明二十首そして暁二十六首が検索されました。
これで朝日が一首追加になったのです。
朝に関する歌は五十五首ほど詠まれているのですね。
中で暁の歌は以下の二十六首です。
歌番:105、1000、1062、1263、1507、1545、1605、1729、2182、2213、2269、2306、2664、2800、3003、3061、3627、3641、3665、3945、4084、4166、4171、4181、4384
一番最初の105番のお歌は、大伯皇女が大津皇子の竊(ひそ)かに伊勢の神宮(かむみや)に下りて上り来ましし時に、作られた御歌二首の一首です。
「わが背子を大和へ遣るとさ夜深けて暁露にわが立濡れし」
「吾勢祜乎 倭邊遣登 佐夜深而 鶏鳴露四尒 吾立所霑之」
(わが背子を大和に送るとて、夜もふけ、やがて明方の露に濡れるまで、私は立つづけたことであった)
もっときれいな暁であっただろうか。
もう一首は106番のお歌です。
「二人行けど行き過ぎ難き秋山をいかにか君が独り越ゆらむ」
(二人でいってさえ越えがたい秋の山を、どのようにしてあなたは今一人で越えていることだろう)
大伯皇女が詠まれた巻2・165番の「二上山」の御歌と大津皇子が詠まれた巻3・416の「磐余」の御歌を思い出します。
大伯皇女:歌番165
「うつそみの人にあるわれや明日よりは二上山を弟世とわが見む」
(現身の人であるわたしは、明日からは二上山をわが弟と見ようか)
大津皇子:歌番416
「ももづたふ磐余の池に鳴く鴨を今日のみ見てや雲隠りなむ」
(百にまで伝わる、いわれの池に鳴いている鴨見ることも今日を限りとして、私は雲のかなたに去るのだろうか)
検索した最初のお歌から二上山と磐余のお歌を紹介しました。
胸に強く、生きることの深い思いが伝わる御歌です。
古代史を読み解くお歌でもあります。
記載している現在は、2013年10月7日朝の五時二十七分、もうじき日の出かな。
検索されたその他の歌も紹介したいと考えています。
大和のシンボルのような二上山は夕日が似合うのかな。
鎮魂は夕日でしょうか。
東の三輪山と対立するようにそびえています。
寒くなりました。
今、大津皇子の変の関連地図を見ながら記載を終えます。
訳語田(おさだ)宮、吉野(草壁・大津以下六人の皇子が、天武天皇に盟いの言葉を述べた吉野離宮がある)、二上山、明日香村、檜隅大内陵、伊勢、伊勢神宮、桜井市など