70.万葉集に詠まれている花(14)はぎ(波疑・波義・芽子・芽)
秋に咲く花と言ったらやはり萩の花ですね。
萩の花を撮りに行こうと思ったのですが、前に撮り置きのがあるなと思い、古い画像を懐かしく探しました。
2006年9月15日に倶知安町の小川原脩記念美術館を訪ねた折に撮ったものがありました。
記念館へは冬に数度訪れたことがあったのですが、秋は初めてでした。
館の背景に蝦夷富士「羊蹄山」がまじかに迫る様にそびえ立っています。
このころは余市町に住んでいたので、バスで出かけました。
(小樽市に移り住んでからは出かけていないな)
萩を撮った日はあいにく雲で蝦夷富士が隠れていたので、別の日のを貼り付けました。
万葉集に詠まれている萩は、ヤマハギで北海道にも分布しているらしい。
萩にも種類があるのですね。
万葉集で一番多く詠まれている花で、百四十一首です。
万葉人の心をとらえたのはなんだったのでしょう。
花を観ているとわかるような気がします。
万葉人のこの花に対する観察は多く、「早萩」、「萩の古枝」、「朝霧にたなびく萩」、「萩が花散る」など様々に詠まれています。
また、古い株からも芽を出すところの「生え木」、「芽木」が語源とのことです。
そして、万葉の時代から日本人に好まれてきた花なのですね。
多くの別称がそのことを裏付けていますね。
「山萩、鹿鳴草、玉見草、庭見草、初萩、萩の秋、野萩、白萩、真萩、萩散る、こぼれ萩」などです。
ほとんど初めて知る別称ですが。
草冠に秋の字は秋に花を咲かせるところによるようで、日本でできた漢字のようです。
漢字は日本語です。
「新潮日本語漢字辞典」
日本語って素晴らしいですね。
詠まれている歌の中で笠金村(かさかなむら)が詠んだ歌(巻2・231)が好きです。
奈良の白毫寺を訪れて、この歌の歌碑を見て、お寺が萩の寺・花の寺として有名であること、そして、お寺が志貴皇子の山荘跡と伝えられていることを知ったからです。
「高円の 野辺の秋萩 いたづらに 咲きか散るらむ 見る人なしに」
(高円山の野辺に咲く秋萩は、むだに咲いていては散っていることであろうか、見る人(志貴皇子)もいないのに、)
「高圓之 野邊秋芽子 徒 開香将散 見人無余」
お寺へは萩の花の季節ではなく、冬に訪れました。
2008年2月26日と2010年3月5日の二回です。
(馬酔木の花を撮ることが旅の目的の一つでした)
萩の花が咲くであろう石段を上がる場所が好きな場所の一つですね。
古都奈良と倶知安町・羊蹄山とが結びつくとは思いもよらなかったのですが、古く古代と蝦夷の昔はどんな関係だったのだろう。
閻魔様はお寺で求めたお土産の包み紙で、新薬師寺も萩がきれいに咲くようです。
そろそろ白毫寺では萩の花が咲くころではないのでしょうか。