40.詠まれている花(6)ねぶ(合歓木)
撮影の日:平成十八(2006)年八月二日
撮影の地:余市町
ネムノキ マメ科 花期:六~七月;北海道は八月
ネムノキとは函館に住んでいたころに出会ったので、ほぼ三十年前になるでしょうか。
このころは何かと忙しく、花を愛でている余裕がない時期でした。
で、次に出会ったのが余市町に住むようになってからです。
五十代半ばで、デジカメ片手に花を撮り始めたころです。
画像を整理していて、撮ったことを思い出しました。
また、小樽市内でも咲いているのを見ます。
そして、数少ない北海道の樹に関する本を開くと、やはり北海道には自生していなく、庭園や公園に植えられたもののようです。
好きな方が庭などに植えたのですね。
集中に三首。
巻八・一四六一、一四六三そして巻十一・二七五一です。
紀女朗(きのいらつめ)が大伴家持に贈った歌(巻八・一四六一)とその返歌(巻八・一四六三)です。
「昼は咲き 夜は恋ひ寝る 合歓木(ねぶ)の花 君のみ見めや 戯奴(わけ)さへに見よ」
「和妹子が 形見の合歓木は 花のみに 咲きてけだしく 実にならじかも」
巻十一の歌は、「吾妹子を聞き都賀野辺のしなひ合歓木吾は隠び間無くし思へば」です。
ネムの木は「ねぶりのき」、「ねぶ」、「ねぶき」とも呼ばれ、小さい葉が夜に就寝運動をすることから名づけられたとか。
糸状の雄蕊がきれいな花です。
万葉集の恋の歌に属する三首です。