25.万葉集の面白さ(十)ノイバラ:うまら(野薔薇・野茨:宇万良)
撮影の日:平成二十四年七月三日
撮影の地:小樽の庭
品種名不明
品種名は、わかりません。庭に咲く薔薇です。
万葉集に詠まれているバラではないのですが。
日本で最初にバラと思われる植物が出てくるのは「万葉集」とか。
野茨・野薔薇(のいばら)のことだと考えられています。
集中一首。
丈 部鳥(はせつかべのとり)の歌です。
「道の辺の茨(うまら:宇万良)の末(うれ)に延(は)ほ豆の
からまる君をはがれか行かむ」(巻二十・四三五二)
防人として出立の時詠んだ歌とのこと。
(道のほとりの野茨の先に、這う野豆のように、
まつわりつくあなたに、別れて行くのであろうか)
今生の別れになるかもしれない時、妻子や肉親を意を決して、振り切って行く哀切の念を詠んだ歌です。
イバラは、トゲのある野生のバラ属の総称のようです。
宇万良は野薔薇・野茨の古名です。
野薔薇(のいばら)は、山野に生え、夏に小さく白い花を咲かせます。
歌の意は戦争を体験した先人にとっては、無情の共感を覚え、涙を誘うのではないでしょうか。
平和な時代に生まれた団塊世代(三丁目の夕日世代)としても平和を願わずにおられません。
孫の世代も平和が続くように願います。