万葉集の日記

楽しく学んだことの忘備録

24.万葉集の面白さ(九)美しい日本語「病葉」

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撮影の日:平成二十四年七月一日

撮影の地:小樽長橋なえぼ公園

 

久しぶりにデジカメ片手に公園に出かけてきました。

オオウバユリなどの開花状況を見ることが主たる目的でした。

ヒメジョオンなどが咲いていましたが、咲いている花は春に比べ少ないようです。

オオウバユリも裏山と同じくらいの状況でした。

開花はもう少し先でしょう。

また、中央園路は緑も深まり、さわやかな風が心地よかったです。

濃い緑の中で病葉がきれいでした。

小学館辞典編集部の「美しい日本語の辞典」にも掲載されていて、美しい日本語の一つですね。

辞典には下記のようにあります。

「病気や虫のため枯れた葉。特に夏の頃、赤や黄白色に変色して枯れた葉。

夏の季語。すみだ川(1909)<永井荷風>吹きはらふ河風に桜の病葉がはらはら散る」

沢鵯(さわひよどり)はヒヨドリが鳴くころ花が咲くことから名がついたともいわれ、

ジェミニウイルスに感染した沢鵯は黄色い斑入りの葉になります。

黄葉せる沢鵯は万葉集の中の孝謙天皇のお歌に詠まれています。

天皇のお歌が病葉について記載された最初の文献であるようです(巻十九・四二六八)。

この記載が世界最古の植物ウイルスの記録として知られているとのこと。

 「この里は 継ぎて霜や置く 夏の野に 我が見し草は もみちたりけり」

(この里はひっきりなしに霜が置くのでしょうか、夏の野に私が見た草は色づいていますよ)

題詞に「黄葉せる沢蘭一株を抜き取り、内侍佐々貴山君に持たしめ」とあり、そのことから「我が見し草」は沢鵯(さわひよどり、沢蘭:さわあららぎ)であることがわかるということです。

孝謙天皇とその母である光明皇后が、皇后の甥にあたる藤原仲麻呂の家に行幸した時の歌だそうです。

「さわあららぎ」を詠んだ歌は集中この一首とのこと。

孝謙天皇については、遠山美都男氏の「天平の三姉妹」がおすすめです。

万葉集は面白いですね。

以下ネット検索です。

「葉のウイルス病 万葉集に最古の記載 ヒヨドリバナ黄変」

万葉集に詠まれたヒヨドリバナ(さわひよどり)の葉の黄変現象が、ウイルスの仕業であることを日英の研究グループが明らかにし、英科学誌ネイチャーに報告しています。

2003年の報告で、英国ジョンイネスセンターのジョン・スタンレー博士と九州大学

矢原徹一教授らの研究グループの研究であるとのこと。

ウイルスに感染した植物の生理生態学の面からジェミニウイルス感染ヒヨドリバナについては、筑波大学大学院生物科学研究科船山幸子氏の研究が詳しいようです。

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