万葉集の日記

楽しく学んだことの忘備録

277.巻三・379・380:大伴坂上郎女、神を祭る歌一首あわせて短歌

大伴坂上郎女:大伴安麻呂の娘。旅人の異母妹。母は、石川郎女。はじめ穂積皇子の寵得、皇子没後は藤原麻呂(不比等の子)に愛されたが、のち異母兄大伴宿奈麻呂の妻となり、坂上大嬢(家持の妻)と二嬢(おといらつめ)を生んだ。坂上の地に住み、旅人の没…

276.巻三・378:山部宿禰赤人、故太政大臣藤原家の山池を詠む歌一首

故太政大臣藤原家:養老四年(720)に没し、太政大臣一位を追贈された藤原不比等の家。 山池:築山や池。林泉。 378番歌 訳文 「ずっと昔から見馴れた池の堤ではあるが、主もなく年月を経て、渚にはびっしり水草が生えてしまった」 書き出し文 「いにしへの …

275.巻三・376・377:湯原王が宴席の歌二首

376番歌 訳文 「とんぼの羽根のような薄ものの袖を飄して舞うこの子、私はこの子ことを心の奥深く思っているのですが、よく見てください、わが君よ」 書き出し文 「あきづ羽の 袖振る妹を 玉櫛笥(たまくしげ) 奥に思ふを 見たなへ 我が君」 美女の舞を座興…

274.巻三・375:湯原王、吉野にして作る歌一首

湯原王:志貴皇子の子。兄弟に光仁天皇や春日王・海上女王らがいる。集中十九首の歌がる。 375番歌 訳文 「吉野にある夏実(なつみ)の川の川淀で、鴨が鳴いている。あの山影で」 書き出し文 「吉野なる 夏実の川の 川淀に 鴨そ鳴くなる 山影にして」 宮滝か…

273.巻三・374:石上乙麻呂朝臣が歌一首

374番歌 訳文 「雨が降ったら私が着ようと思っている笠、その笠の名を持つ笠の山よ。他人には着せるな、たとえびしょ濡れになろうとも」 書き出し文 「雨降らば 着むと思へる 笠の山 人にな着せそ 濡れは漬(ひ)つとも」 笠の山の名や形に興味をもって山に…

272.巻三・372・373:山部宿禰赤人、春日野に登りて作る歌一首あわせて短歌

372番歌 訳文 「春日山の御笠の峯に毎朝雲がたなびき、貌鳥(かおどり)が絶え間なく鳴きしきっている。 そのたなびく雲のように私の心は滞って晴れやらず、その鳴きしきる鳥のように片思いばかりして、昼はひねもす、夜は夜もすがら、そわそわと立ったり座…

271.巻三・371:出雲守門部王、京を偲ぶ歌一首

門部王:後に大原真人の氏を賜る、310番歌を詠む。 371番歌 訳文 「飫宇(おう)の海に続く河原の千鳥よ。おまえが鳴くと、わが故郷の佐保川が思い出されるよ」 書き出し文 「飫宇(おう)の海の 川原の千鳥 汝が鳴けば 我が佐保川の 思ほゆらくに」 出雲守…

270.巻三・370:安倍広庭卿が歌一首

安倍広庭卿:302番歌をよんでいます。 370番歌 訳文 「雨も降らずべた曇りの続く夜はさっぱりしないが、そのようにさっぱりと思いきることもできずにあなたに恋い焦れておりました。もしやおいでになろうかと思いながら」 書き出し文 「雨降らず との雲(ぐ…

269.巻三・368・369:石上大夫が歌一首と和ふる歌一首

368番歌 訳文 「われわれは大船の舷に楫をたくさん取りつけ、恐れ多くもわが大君の仰せのままに磯から磯へと漕ぎ進んで行く」 書き出し文 「大船に 真楫しじ貫く 大君の 命畏み 磯廻(み)するかも」 右↑は、今案ふるに、石上朝臣乙麻呂、越前の国守に任けら…

268.巻三・366・367:角鹿(つのが)の津にして舟に乗る時に、笠朝臣金村が作る歌一首あわせて短歌

角鹿(つのが)の津:敦賀の港 366番歌 訳文 「越の海の敦賀の浜から、大船に左右の梶をいっぱい取り付け、(いさなとり)海路に出てあえぎながら私が漕いで行くと、(ますらをの)手結の浦で海人娘子が塩を焼いている煙が見えるが、(草枕)旅先なので一人…

267.巻三・364・365:笠朝臣金村、塩津山にして作る歌二首

笠朝臣金村:伝不詳、聖武朝の宮廷歌人 塩津山:滋賀県伊香郡西浅井町塩津(?)の北にある山。この峠を越えると越の国の敦賀である。塩津は長浜市の北西部。近江塩津駅周辺。琵琶湖の最北部にあたる。 364番歌 訳文 「ますらおが勢いよく弓末を振り立てて射…

266.巻三・357~363:山部宿禰赤人が歌六首と或本の歌一首

357番歌 訳文 「縄の浦にたどりついて振り返るとはるか沖合に見える島、その島のあたりを漕いでいる舟は、まだ釣りのまっ最中らしい」 書き出し文 「縄の浦ゆ そがひに見ゆる 沖つ島 漕ぎ廻(み)る舟は 釣りしすらしも」 船泊てのころ合いになっても、船が…

265.巻三・356:上古麻呂が歌一首

明けましておめでとうございます。 謹んで新年のお慶びを申し上げます。 本年もよろしくお願いいたします。 北海道神宮で1月2日に購入の土鈴「えと鈴・戌」を貼り付けます。 上古麻呂:伝不詳 356番歌 訳文 「今日もまた、明日香の川の、いつも夕方になると…

264.巻三・355:生石(おひしの)村主真人が歌一首

生石:大石とも書く。 355番歌 訳文 「大国主命と少彦名命が住んでいらしたという志都(しつ)の岩屋は、幾代を経たことだろうか」 書き出し文 「大汝(おほなむぢ) 少彦名(すくなびこな)の いましけむ 志都の岩屋は 幾代経ぬらむ」 志都の岩屋:島根県太…

264.巻三・354:日置少老(へきのをおゆ)が歌一首

354番歌 訳文 「縄の浦の塩焼き煙、夕方になると、行き過ぎることもできずに、山にたなびく」 書き出し文 「縄の浦に 塩焼く火の気 夕されば 行き過ぎかねて 山にたなびく」 「・・・兵庫県で「万葉集」に登場する地域は、西海道(九州)へのメインルート・…

262.巻三・353:釈通観が歌一首

釈通観:伝未詳、釈は仏門にある者を表す。 353番歌 訳文 「吉野の高城(たかき)の山を見ると、そこに白雲が、進むのをためらうかのようにずっとたなびいている」 書き出し文 「み吉野の 高城の山に 白雲は 行きはばかりて たなびけりみゆ」 白雲のかかる山…

261.巻三・352:若湯座王(わかゆゑのおほきみ)が歌一首

352番歌 訳文 「今頃は葦辺に鶴が鳴いて港風が冷たく吹いていることであろう。あの津乎の崎よ」 書き出し文 「葦辺には 鶴がね鳴きて 港風 寒く吹くらむ 津乎の崎はも」 回想の歌。 港・葦・鶴は取り合わせとして固定していた。 引用した本です。 昨日は急用…

261.巻三・352:若湯座王(わかゆゑのおほきみ)が歌一首

352番歌 訳文 「今頃は芦辺に鶴が鳴いて港風が冷たく吹いていることであろう。あの津乎(つお)の崎よ」 書き出し文 「芦辺(あしへ)には 鶴がね鳴きて 港風 寒く吹くらむ 」

261.巻三・352:若湯座王(わかゆゑのおほきみ)が歌一首

352番歌 訳文 「今頃は芦辺に鶴が鳴いて港風が冷たく吹いていることであろう。あの津乎(つお)の崎よ」 書き出し文 「芦辺(あしへ)には 鶴がね鳴きて 港風 寒く吹くらむ 」

260.巻三・351:沙弥満誓(さみまんざい)が歌一首

351番歌 訳文 「世の中を何に譬えたらよいだろう。それは、朝早く漕いで出て行った船が、跡に何も残さないようにはかないものだ」 書き出し文 「世の中を 何に譬へむ 朝開き 漕ぎ去にし船の 跡なきがごと」 自問自答の形で、この世の常なきさまを詠んだ歌。…

259.巻三・338~350の内の347~350:太宰帥大伴卿、酒を讃むる歌十三首の四首

347番歌 訳文 「この世の中の色々の遊びの中で一番楽しいことは、一も二もなく酔い泣きすることのようだ」 書き出し文 「世間の 遊びの道に 楽しきは 酔い泣きするに あるべかるらし」 前歌の「心遣る」を承けて「世間の遊び」と続けたもの。 「酔い泣き」を…

258.巻三・338~350の内の341~346:太宰帥大伴卿、酒を讃むる歌十三首の六首

341番歌 訳文 「分別ありげに小賢しい口をきくよりは、酒を飲んで酔い泣きしている方がずっとましだろう」 書き出し文 「賢しみと 物言ふよりは 酔ひ泣きするし まさりたるらし」 「賢しら」と「酔ひ泣き」とを対比し、後者を賞揚した歌。 前歌の「賢しき」…

257.巻三・338~350の内の338~340:太宰帥大伴卿、酒を讃むる歌十三首

338番歌以下十三首は、338、341、344、347、350が柱となり、その間にある二首ずつが一組となっているようです。 338番歌 訳文 「くよくよしてもはじまらない物思いなどにふけるよりは、そのこと濁り酒の一杯でも飲む方がよさそうだ」 書き出し文 「験(しる…

256.巻三・337:山上憶良臣(おみ)、宴を罷る歌一首

罷る:貴人(ここは旅人)のもとから退出する意 337番歌 訳文 「憶良めは今はお暇致しましょう。子が泣いているでしょう。きっとその子の母も私を待っているでしょうよ」 書き出し文 「憶良らは 今は罷らむ 子泣くらむ それその母も 吾を待つらむそ」 引用し…

255.巻三・336:沙弥満誓(さみまんぜい)、綿を詠む歌一首

沙弥:僧侶として最小限の資格である十戒を受けたばかりで、それ以上の段階にすすんでいない男性。大伴旅人と交友があった。 336番歌 訳文 「筑紫産の真綿は、まだ肌身につけて着てみたことはないが、いかにも暖かそうだ」 書き出し文 「しらぬひ 筑紫の綿は…

254.巻三・331~335:帥大伴卿が歌五首

帥大伴卿:太宰府の長官、大伴旅人。 331番歌は、328番歌~330番歌へと続いてきた「奈良の都」、特に、330番歌それを承けている。 331番歌 訳文 「私の若い盛んだった頃は、また戻って来ることがあろうか。もしかして、もう奈良の都を見ずに終わるのではなか…

253.巻三・329・330:防人司佑大伴四綱が歌二首

329番歌は、328番歌の「奈良の都」を承けて続けた歌。 329番歌 訳文 「(やすみしし)わが大君が治められる国々のうちでは何よりも都のことが思われますね。」 書き出し文 「やすみしし 我が大君の 敷きませる 国の中には 都し思ほゆ」 330番歌は、329番歌に…

252.巻三・328:太宰少弐小野老朝臣(だざいのせうにをののおゆのあそみ)が歌一首

328番歌 訳文 「(おをによし)奈良の都は、咲く花が爛漫と咲き誇るように、今真っ盛りでした」 書き出し文 「あをによし 奈良の都は 咲く花の 薫(にほ)ふがごとく 今盛りなり」 「平城京というと、まず想起されるのはこの歌である。 「にほふ」は香りにい…

251.巻三・327:或る娘子ら、裏(つつ)める乾し鰒を贈りて、戯(たはぶ)れて通観僧の呪願(しゅぐわん)を請ふ時に、通観が作る歌一首

通観:伝未詳、353番歌にも歌があります。 327番歌 訳文 「たとえ海の神います沖へ持って行って放したとしても、どうしてこんなものが二度と生き返りましょうや」 娘たちのからかいに対して、海のものであるあわびを生き返らすことは、海神の力でもだめなの…

250.巻三・326:門部王(かどへのおほきみ)、難波に在りて、海人の燭光(ともしび)を見て作る歌一首

後に姓大原真人の氏を賜はる 326番歌 訳文 「遠く見わたすと明石の浦に漁り火が光って見えるが、その漁り火がちらつくように人目につくようになってしまった。妹への恋心が」 書き出し文 「見わたせば 明石の浦に 燭す火の 穂にぞ出でぬる 妹に恋ふらく」 引…